こんばんは。細井です。
お知らせです!
人気ボイストレーニングチャンネル・connectと激推しシンガー服部奈緒さんのコラボカバー動画「洋楽・邦楽メドレーをハモりまくって歌ってみた【bad guy・愛を伝えたいだとか・Chandelier・夜に駆ける】」のアレンジ、ミックス、ボーカルディレクション、レコーディングなど諸々制作担当致しました。
【connect × 服部
奈緒】洋楽・邦楽メドレーをハモりまくって歌ってみた【bad guy・愛を伝えたいだとか・Chandelier・夜に駆ける】
connectと服部
奈緒さんの3名の変幻自在の歌声とより良い歌・プレイへの執念、素晴らしかったです。
細井の視点から簡単に4曲説明致します。
1, Billie Eilish(ビリー・
アイリッシュ)「bad guy(バッド・ガイ)」
基本的には原曲をベースに。
メドレーでは曲がそもそも曲が違うので、楽器編成も異なると全体の統一性の担保が難しいもの。
今回は最後の「夜に駆ける」でスウィングジャズテイストのアレンジがあります。
メドレーに統一性と必然性を出すべく、bad guyでも
ウッドベースを使いました(原曲はシンセベース)。
2回目のVerseでは変態なリハモコーラスを入れて欲しいとconnectさんから希望があり、せっかくなので攻めたリハモを入れてます。楽しい。
ピアノを入れてより和音感をさらに充実させたい欲望に駆られつつ、間奏のハモリ祭りのピークに備え、そこはあえて抑制。
さらにChorus直後の間奏では原曲のインストフレーズに変態コーラスを入れて欲しいというオーダーがあり、 こちらも最後の「夜に駆ける」のジャズに繋がるよう、その文脈の香りがするコーラスアレンジとピアノを追加。
コーラスはブラスアレンジに近いようなハーモニーの付け方で、楽譜に
臨時記号が多用されるキツイライン。ここはみんな入魂のプレイ。
その甲斐あって良いコーラスワークになりました。
この曲はボーカルの音像を原曲のあの雰囲気に近づけたいとconnectのお二人の希望あり、原曲のアプローチを参考にしながらみんなで試行錯誤。
結果決して歌い上げず、しかしグルーヴはしっかり打ち出していく、クールで面白いボーカル
サウンドになりました。
こちらは16ビートシャッフルのピアノバッキング+穏やかなテンションコードで、いわゆるシ
ティーポップの香りが漂う方向性。
コーラスはあえてダビングせず、シングルで。
コーラスはダビング数を増やすほど音が抽象的、まろやかに、分厚くなります。
一方で本数が減るほど1パートずつの声が鮮明に、よりシンガーの色やフレージングのディテールが強く見えてきます。
良し悪しではなく、求める
サウンド次第で、どれくらいコーラスの本数を重ねるか、重ねないのかの判断は大事なポイントになります。
今回は服部
奈緒さんのボーカルの生々しい手触りを活かす。
大ちゃんNamiさん服部
奈緒さん3人のコラボ感やライブ感を出す。
次曲とのメリハリを出す。
これらの観点から、コーラスもボーカルもオール1本勝負でダビングなしのアプローチにしました。
歌の壁が好きな僕が携わる作品では珍しいアプローチですが、これはこれでとても良い音像だったので、今後の作品でも適宜やっていきます。
3、Sia「Chandelier」
こちらはNamiさん、Daiちゃんの熱く歌い上げるのが最も輝くことを優先。
ピアノのバッキングもシンプルに、だけど情熱的に。
コーラスも基本的には3和音系のシンプルなアプローチ。
和音がシンプルであるほど歌の強いニュアンス(しゃくり、ビブラートなど諸々)の許容度が大きくなり、複雑になるほど許容度は小さくなるものです。
この曲ではそういった歌のニュアンスや表情、パワー感を最優先に打ち出すべく、コーラスの和音はあえてシンプルにしました。
サビの5小節目だけは一瞬の煌めきでadd9th(服部
奈緒パート)を入れておりますw
こういうadd9thの使い方はコーラス界隈の伝統芸で、我々としては大変キュンとくるポイントでございます。
こちらはジャズテイストのアレンジ。
原曲からビートが大きく変わっていますが、曲のカラーや魅力が全く変わらない。
これはこの曲が持っている魅力とパワーの強さゆえで、改めて大変素晴らしい楽曲だと思いました。
コードはBメロだけ、アグレッシブなリハモをしつつ、あとは原曲の進行に添いつつ。
ボイシング(和音の積み方)はテンションコードを多用したジャ
ジーな響きに。
久しぶりにピアノの
ボイシングでアッパースト
ラクチャートライアド(オシャレでめちゃくちゃかっこいい最高なコードの積み方)を使えてハッピーでした。
ラストはこのメドレーでコラボした3人の顔が最後に全員しっかり見えるようにしたいと思い、3人が歌い継ぐボーカルワークになっております。
最後の最後のキメは僕の大好きな
山下達郎さんがよくライブでやられるキメキメで終わるスタイルのイメージで、完全な趣味ですw
ちなみに大ちゃんはこの曲の4小節に90分ほど使ってましたw
納得いくまでプレーし続ける熱い男です。
僕もだいぶ録音時間が長くなるタイプなので、そんな2人が一緒に作品を作るとどんどん録音時間が長くなるw
しかし「これは微妙だな」って思いながらやめてしまうと、後になって作品を聴いた時に必ず後悔するし、作品を人に積極的にオススメ出来ない。自分でもあまり聴きたくならない作品になってしまい、良いことがありません。
その時に「今やれるベストを尽くした」と思って終えるのとは雲泥の差です。
せっかくうちはプライベートなホームスタジオで、純粋商業スタジオよりも時間やコストの点でシビアにならなくて良い。
なので、できるだけ、やれるだけやりたいと思う次第です。
自宅のスタジオ化といえば、
福生における
大滝詠一さんが先駆のお一人かと思いますが、時間制約に縛られず音楽を作りたいという思いがあったのではないかと想像出来、改めて愛とリスペクトが溢れて参ります。
ちなみにconnectの大ちゃんは以前アカペラ研究室「LET'S A CAPPELLA AGAIN」の作品に出演してくれた縁でございます。またチャンスあればLET'S A CAPPELLA AGAINの変態ハモリ沼に遊びに来て欲しいw
【アカペラ】白日 -
King Gnu|Covered by アカペラ研究室「LET'S A CAPPELLA AGAIN」 / 細井涼介
服部奈緒さんはSNSで歌声を聴いて、いつか一緒にやれたらいいなと思っていたので、今回ご一緒できて嬉しかったです!
今回のような素晴らしいコラボ動画に関わらせて頂き、ありがたい限りです。
アカペラ研究室「LET'S A CAPPELLA AGAIN」は現在新作録音中で、今ちょうど中盤まで来ました。
具体的にはアリサさんとまりえってぃの録音が終わり、ヨシダゲインとよしきさんの録音が半分くらい残っている状況。
あとワイはまだ何もやってないので、みんなが録り終わったあと、じっくり頑張ります。
引き続きよろしくお願い致します!!