Billie Eilish - ”bad guy”のカバー動画公開。制作メモと研究報告。
こんにちは。
アカペラ研究室「LET’S A CAPPELLA AGAIN」の細井です。
ボーカロイドによるアカペラ、「ボカロアカペラ」シリーズ
Billie Eilish - ”bad guy”のカバー動画を公開しました。
まずはぜひご覧ください!
これまではボカロのgif(簡単な口パク風画像)で、それだと映像がシンプルすぎるかなと思い、
今回からボカロエディターの映像、人間のボイパしている映像もつけてみました。
いかがでしょうか?
これからも色々とアップデートを重ねていきたいと思います。
ここからは制作メモや、研究報告です。
今回話す項目はこちら。
1、キック。音色選びとピッチ調整。
2、ボイパ打ち込み時のグルーヴ。
3、ボーカルの声のトーンの大切さ。
4、コーラスにもニュアンスをつける。
5、リハモのバランス感覚
6、ボカロのボイス選定
ここから詳細です。
1、キック。音色選びとピッチ調整。
まず今回の作品は事前に何種類も自分のボイパをサンプリングして、それを打ち込むというスタイルです。
キックは2種類重ねています。
A : アタックが鋭く、リリースが短い音(無声)。
B : リリースが極端に長いドーンという音(有声)。
Bは試しにエディターでピッチを1オクターブくらい下げてみたら、想像以上にユニークな音色になったので、そのまま採用。
キックは曲中ほぼずっと鳴っているので、曲の個性やサウンドカラーを決めます。キックの音色はとても大切。
2、ボイパ打ち込み時のグルーヴ。
打ち込みの際は以下の工夫をしました。
・間奏のハイハットは微妙に16ビートをスウィングさせる。
→心地よきスウィング感を毎回探ります。
・テンポが落ちる最終セクションのスネアは盛大にためてみる。
→今回はがっつり30ミリ秒くらい。思ったよりかなり許容度が大きい。2番頭のクラップも同じくらい盛大にためてみたところ、こちらはずれ感が大きく、ため具合をライトに調整。
・原曲は歌入りパートのスナップが2拍目だけばらけ感強い。2、4拍目でスナップのグルーヴが違う。逆に間奏系のスナップは2、4拍目で同じ感じなる芸の細かさ。
→かっこいいので踏襲。
3、ボーカルの声のトーンの大切さ。
原曲でのBillie Eilishさんの声は息の成分が多く、やや暗めなトーンで、ウィスパー感が強い。
この独特な声のトーンが楽曲のカラーになっている。
ボカロの方でもトーンを近づけられるように調整。
初期設定では全然サマにならなくて、ボーカリストの声のカラーの大切さを改めて痛感しました。
逆にサビではガツンとハーモニーを鳴らしたかったので、ウィスパー感を減らし、鳴り強めの声色に調整。
4、コーラスにもニュアンスをつける。
コーラスにもしゃくりやビブラートなどのニュアンスをつけました。
特にスピードの速いビブラートをコーラスにも積極的につけると、全体に躍動感が出ました。
逆に4thや5thなど低めのパートはビブラートの具合を少し抑えてあげると歌のかっこよさもありつつ、和音感もしっかり打ち出せることができました。
人間のアカペラでも同じだと思います。
5、リハモのバランス感覚
メロディーに対して原曲と異なった、新しいコードをつけることをリハモと言います。
僕はリハモでかっこいいコードワークを作るのが大好きなのですが、今回はリハモをする箇所を厳選。
最初は24小節分くらいリハモしてみたのですが、最終的には8小節のみにしました。
リハモの時、コードは変えればいいというものではなく、どこでどれくらい変えるかがとても大切だと改めて実感。
6、ボカロのボイス選定
これまでは「8人いるボーカロイドのボイスキャラ、出来るだけ全て使おう。」
そして「違う人間が5-6人で歌う、人間のアカペラみたいになるようにしよう」としておりました。
今回はそういうバリエーションは無くして、曲に合っていて、ボイスとしてのクオリティーが高いボカロのキャラだけ使ってみることに。
結果は大正解でした。やはり良い歌を重ねていくのが良きですね。
以上、制作メモや研究報告でした!
また人間アカペラ、ボカロアカペラなどいろいろと挑戦、公開しますので、よろしくお願いします!
LET'S A CAPPELLA AGAIN!!!!!!